この本の内容
空港で家族を見送る涙、ジプニーの排気と歌声、大皿を囲むにぎやかな食卓、九月から始まるクリスマスの灯り。フィリピンには、海を渡って働く一千万人規模の人びとと送金が支える経済、三百三十年あまりのスペイン統治から続く歴史、戒厳令とピープルパワー、台風と生きる知恵、そしてミンダナオの紛争と和平があります。
本書は、架空の六人の案内役の日々をたどりながら、フィリピンの歴史・文化・社会を物語で読む一冊です。マニラのコールセンターで夜勤をするアイザ、セブで孫を育てるロラ・ロサ、ダイビングのインストラクターのマーク、ミンダナオのムスリムのヌール、英語留学に来た元介護職の田村さん、日本の介護施設で働くジョイ。家族のつながり、信仰、政治、日本との縁までをたどります。
歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、戒厳令や麻薬取り締まりの犠牲者の数など推計に幅のあるものは出所ごとに示しています。物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らす・語学留学するための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナー、旅の楽しみ方の実践編を収めました。
シリーズ「世界の国のリアル」は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。