ハンガリーのリアル
万象知楽編集部 / 世界の国のリアル
目次・本書の構成
このシリーズについて
この本について
物語の案内役
本書の構成
プロローグ ドナウは、二つの岸を分けて流れる
- 1 もう一つの宿題
- 2 「うちは違う」という声
- 3 五人の案内役
- 4 二つの岸、二つの力
- 5 三つの思い込み
- 6 湯気の向こうへ
第一章 「ドナウの真珠」の裏側
- 1 来る前のイメージ、来てからの驚き
- 2 クリシェ①「ドナウの真珠、安い温泉観光地」の裏側
- 3 クリシェ②「親日国・日本人のルーツ」という物語
- 4 クリシェ③「オルバンの独裁国家」という見出し
- 5 東でも西でもなく、その両方の綱の上で
- 6 旅の人へ、そっと
第二章 ハンガリー人の一日を歩く
- 1 午前四時四十分、アルフェルドの闇
- 2 午前六時、団地の廊下を走る足音
- 3 午前八時、ブダペストの黄色い路面電車
- 4 正午、中央市場の喧騒とヤーノシュ先生
- 5 午後三時、ゾルタンの工場と、日曜の教会
- 6 夕方、佐藤さんの温泉
- 7 夜、それぞれの灯り
- 8 昼下がり、村のいちばん奥の家
- 9 午後四時、下校の道と、スマホの中の西
- 10 夕暮れ前、イロナの「第二のシフト」
第三章 パプリカと、悲しみと、パーリンカ
- 1 グヤーシュという誤解
- 2 赤い粉は、新大陸から来た
- 3 ゾルタンの、自家製の誇り
- 4 「何を、誰と食べるか」——日曜の集まり
- 5 市場という劇場——中央市場ホール
- 6 カフェの中の、失われた時代
- 7 甘さと、ワインと、貴腐という奇跡
- 8 ロージャの台所——大鍋と、誇りと、境界
- 9 日本の食卓と、二つの国の宿題
- 10 旅行者のための、小さな道しるべ
第四章 マジャルであるということ
- 1 言葉という孤島
- 2 八九六年、平原にやってきた騎馬の民
- 3 一九二〇年六月四日――割られた器
- 4 「同じ言葉を話す外国人」――ゾルタンとトランシルヴァニアの親戚
- 5 帰りの車で――日本という「幸運」との対比
- 6 旅する人へ――マジャルに触れる小さな入口
- 7 「あなたはマジャル人ですか」――ロージャの、一瞬の沈黙
- 8 出ていく側から見た「マジャルであること」――エステルの逆さまの故郷
- 9 本物のマジャルの調べ――バルトークが村で拾い集めたもの
第五章 神を捨てた国の、神さまたち
- 1 数字が語る、奇妙な国
- 2 なぜ、こうなったのか――ヤーノシュ先生の記憶
- 3 日本の私たちが、思い当たること
- 4 素朴な信心――ロージャの神さま
- 5 何も信じない、という正直さ――エステル
- 6 水をかける春――イースターの奇妙な楽しさ
- 7 ドナウ川の靴――ユダヤ人街の、傷と再生
- 8 旅する者へ――温度差を、味わう
- 9 名前の日――聖人は、暦の中に生き残った
- 10 村の守護聖人と、祭りの日――ブーチュー
- 11 学校で、神を教えるか――戻ってきた振り子
第六章 ブダペストと、もう一つのハンガリー
- 1 頭でっかちな国の地図
- 2 エステルにとっての「息ができる場所」
- 3 東西で分かれるもう一つの地方
- 4 二つで一つの街、ブダペスト
- 5 一人の中に同居する、二つの心
- 6 第二の都市は生まれるか――デブレツェンへ
- 7 工場が来ない町から
第七章 西へ働きに出る国
- 1 なぜ、西へ出るのか
- 2 医療の担い手が抜けていく
- 3 集団就職と、国境を越える流出
- 4 まだ決めていない人々
- 5 家族政策という賭け
- 6 出ていく者、残る者、揺れる者
- 7 帰ってきた者たち
第八章 西の工場、東のガス
- 1 「ドイツの下請け国家」と呼ばれて
- 2 ゾルタンの工場の景気
- 3 エステルの側から見える、もう一つの経済
- 4 東を向く――ロシアのガスと原発、中国の投資
- 5 「高速道路とEUの旗」――補助金という西からの点滴
- 6 フォリントという小さな通貨
- 7 日本の綱渡りと、重ねてみる
- 8 誰が、その車を組み立てているのか
- 9 水と、バッテリーと、平原の反対側
第九章 多数決で選ばれる「強い指導者」
- 1 「非リベラル民主主義」という言葉
- 2 体制転換から、この日まで
- 3 EUとの五つの争点
- 4 ソロスをめぐる言説について
- 5 日本との静かな対比
- 6 国民協議という仕組み
- 7 選挙で勝てるのか
第十章 国を出るか、残るか
- 1 「西」という磁石
- 2 残る者の理由
- 3 「家」という優しい檻
- 4 教育――西へ続く滑走路
- 5 大学の自由をめぐって
- 6 政治への無関心と、分断
- 7 ゾルタンの長女、都会に憧れる
- 8 旅行者・滞在者の観察ポイント
- 9 それでも、残る者たちへ
- 10 戻ってきた者の、静かな話
- 11 西から流れてくる、お金の川
- 12 「二つの国籍」を生きる子どもたち
- 13 「出ていくのは、裏切りじゃない」
第十一章 温泉と、長い冬
- 1 地の底が温かい国
- 2 地方に根を張る湯
- 3 長い冬と、住まいの設計
- 4 自分で建てた家
- 5 買い物という綱渡り
- 6 湯を処方する国
- 7 湯が届かない場所
第十二章 悲観という名の処世術
- 1 幸福度の低い国、という名刺
- 2 歴史に何度も裏切られた者の、生存の作法
- 3 エステルの自虐、あるいは笑いという鎧
- 4 Nem baj ――仕方ない、気にするな
- 5 「二重生活」の記憶 ―― 社会主義が残した処世術
- 6 悲観の裏側 ―― 粘り強さと家族の結束
- 7 日本との対比 ―― 「察しと建前」「頑張り」との違い
- 8 愚痴と皮肉、そのやわらかい効用
- 9 旅行者・滞在者への、ささやかな道しるべ
第十三章 水球とチェスと、ルインパブ
- 1 「メルボルンの流血戦」――なぜ水球なのか
- 2 マジック・マジャル――負けたことで永遠になったチーム
- 3 温泉の中でチェスを指す国
- 4 立方体と、突出するノーベル賞
- 5 リストとバルトーク――ピアノを叩く民族
- 6 ルインパブ――廃墟の中の楽園
- 7 シゲトと、温泉パーティー
- 8 牛の血、貴腐、そしてパーリンカ
- 9 ロージャの音楽――誇りとして、憐れみとしてではなく
- 10 カフェと、書かれなかった小説
- 11 旅行者・滞在者の観察ポイント
- 12 日本の私たちへ――負けても、遊び続けるということ
第十四章 大平原と、国境の外の同胞
- 1 地平線しかない国、という「もう一つのハンガリー」
- 2 灰色の牛、跳ね上げ井戸、そして羊飼いの末裔
- 3 過疎という、もう一つの静けさ
- 4 国境という、ただの線
- 5 トリアノンという、消えない喪失
- 6 ゾルタンの親戚——セーケイの丘で
- 7 二重国籍という、感情の橋
- 8 同じ言葉を話す「外国」——四つの周縁
- 9 反対側の窓——ルーマニア人の隣人から
- 10 日本という、恵まれた例外
- 11 帰り道、平原の夕暮れ
- 12 旅する人へ——プスタと国境の歩き方
- 13 もう一つの世代の声——エステルの、気の進まない帰省
- 14 「大ハンガリー」のステッカーが、恥ずかしい世代
- 15 シゲトの夜、ヴォイヴォディナから来た青年
- 16 数字で見る、消えていく地図
- 17 エステル自身も、いつか「外の同胞」になる
- 18 佐藤さんの引っかかり——日本にも、いたのではないか
第十五章 日本とハンガリー
- 1 言葉は似ているのか
- 2 スズキとルービックキューブ
- 3 バルトークとコダーイ
- 4 親しみは対等か
- 5 人口が減る二つの国
- 6 文化会館の熱気
終章 人口が減っても、ハンガリーであること
- 1 「この国は、なくなると思いますか」
- 2 先生の遠回り
- 3 ゾルタンとロージャ
- 4 エステルの迷い
- 5 島国と、陸の真ん中の国
- 6 旅する人へ
- 7 湯から上がって
- 8 二月の終わりの通り
実践編A はじめてのハンガリー旅行
- 1 まず結論——ビザと入国の話(ここだけは太字級で読む)
- 2 いつ行くか——「灰色の冬」と「温泉は通年」
- 3 何日で、どこを回るか——日数別モデルコース
- 4 どう動くか——移動の実際
- 5 治安——数字で見る「油断禁物」
- 6 温泉の入り方とマナー
- 7 食の楽しみ方
- 8 予算感——フォリントと物価
- 9 言葉と心構え——「分からなさ」を楽しむ
実践編B 暮らす・長期滞在
- 1 「住む」ための入口──滞在許可という壁
- 2 住民登録という、見えない生活の背骨
- 3 家を探す──パネル団地とドナウの家賃
- 4 医療──EU水準の安心と、EU域外者の現実
- 5 お金の現実──フォリントという、揺れる床
- 6 言葉──英語という幻想と、ハンガリー語という壁
- 7 冬──暗さという、静かな敵
- 8 日本人として暮らすということ
- 9 楽園幻想を、そっと戒める
実践編C 実用Q&A・言葉・マナー
- 1 お金まわり――フォリント、両替、カード、チップ
- 2 乗り物――切符、検札、罰金
- 3 温泉のマナー
- 4 食事とレストランの作法――そして「ビールで乾杯しない」謎
- 5 写真のマナー
- 6 デリケートな話題の扱い方――政治・歴史・民族
- 7 簡単ハンガリー語――怖くない、実はローマ字読みに近い
- 8 安全・健康・法律――ここは真顔で読んでください
参照資料
奥付