この本の内容
渋滞のなかを走るバイク、夜明けの礼拝の呼びかけ、屋台の煙とサンバルの辛さ、バリの家々に置かれる小さな供え物。インドネシアには、一万七千ほどの島と数百の民族を「多様性のなかの統一」で束ねる国のかたち、世界で最も多くのムスリムが暮らす国の信仰、独立への戦いと、長く語られてこなかった一九六五年の出来事があります。
本書は、架空の五人の案内役の日々をたどりながら、インドネシアの歴史・文化・社会を物語で読む一冊です。ジャカルタで配達のバイクを走らせるアグス、ジャワの町で食堂を営むシティおばさん、多くを語らない祖父のスギオノおじいさん、バリ島のワヤン、駐在員の岡田さん。伸び盛りの経済と新首都、パプアや東の島々、日本との縁までをたどります。
歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、一九六五年の犠牲者の数など推計に幅のあるものは出所ごとに示しています。物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らす・駐在するための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。
シリーズ「世界の国のリアル」は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。