この本の内容
草原を渡る風、ドンブラの調べ、大皿のベシュバルマク、ミルクたっぷりのお茶、資源の富が建てた未来都市アスタナ。カザフスタンには、遊牧の誇りと、一九三〇年代の大飢饉や東部の核実験場、縮んだアラル海の傷、強制移住の歴史が生んだ百を超える民族の暮らしがあります。
本書は、架空の五人の案内役の日々をたどりながら、カザフスタンの歴史・文化・社会を物語で読む一冊です。アルマトイのITエンジニアのアルマン、アスタナの役所で働くアイグリ、東部で核実験の時代を生きたヌルランじいさん、祖母のドンブラを受け継ぐダナ、アスタナに駐在する日本人の木下さん。言葉をめぐる揺れ、若い世代、ウランと核の記憶を通じた日本との縁までをたどります。
歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、大飢饉や核実験の被害の規模など推計に幅のあるものは、幅のあるものとして示しています。物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らす・駐在・関わるための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。
シリーズ「世界の国のリアル」は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。