コートジボワールのリアル
万象知楽編集部 / 世界の国のリアル
この本について
『コートジボワールのリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、コートジボワールの歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。夜明けのラグーンに重なる礼拝の声、炭火の上で湯気を立てるアチェケ、遠くの太鼓の音。南の森では、幹から直接ぶら下がるカカオの実が朝の光を待っています。 この国は「世界最大のカカオの産地」「内戦の国」「貧しい西アフリカの一国」として語られることが多い国です。本書はその像を否定しませんが、そこで終わらせません。ラグーンに抱かれた大都市アビジャンと、カカオの森の村。六十を超えるとされる民族と、イスラム、キリスト教、伝統的な信仰が隣り合う暮らし。独立後の繁栄と、深い分断と、和解への歩み——それがこの本の立ち位置です。 以下は架空の人物です。年齢は二〇二六年を基準にしています。実在の人物や、特定の証言者をもとにした人物ではありません。 アヤ(若い世代の女性)、アビジャンで生まれ育った都会っ子。音楽とスマホと、自分ではじめた小さな商いのことで頭がいっぱいの若い女性。二〇〇二年の南北の分断のころには、まだ小さな子どもだった。 コフィ爺さん(年配の男性)、南部のカカオの森の村で、アカン系の家に生まれた農家。独立(一九六〇年)の日にまだ子どもだった世代で、「爺さん」は親しみをこめた呼び方。独立後の繁栄も、価格の下落も、分断の時代も、畑から見てきた。 マミー・アウア(年配の女性)、北のサバンナの出身で、若いころにアビジャンへ出て、市場に自分の台を持つ。「マミー」は市場の年配の女性への敬称。四人の子を育て、学校には行けなかったが、数と人の顔を読む力で商いを回してきた。 イブラヒム(若い男性)、北部の出身で、アビジャンの親戚を頼って暮らす。サッカーで世界へ出る夢を見たが、プロの選手にはならず、いまは街で働きながら年下の少年たちにボールを教えている。 田村さん(日本人)、カカオやチョコレートの原料、港湾、開発協力、サッカーの縁で、この国に通い続けている日本人。外から見つめる目であり、日本とこの国をつなぐ読者の分身。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らす・働くための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ「世界の国のリアル」は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。
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