万象知楽出版BANSHO CHIRAKU PUBLISHING

タイのリアル

万象知楽編集部 / 世界の国のリアル

タイのリアルの表紙

この本について

『タイのリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、タイの歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。到着ロビーの外の甘いジャスミンの香り、朝の托鉢、路地の屋台、配達のバイク、イサーンの村の高床の家。 この国は「微笑みの国」「物価が安い」「なんだかゆるい」と紹介されることの多い国です。本書はその紹介を否定しませんが、そこで終わらせません。三枚のカードの裏にある、関係と徳と面子、借金と仕送り、地方と都市の距離——そこから始めます。 以下は架空の人物です。年齢は二〇二六年を基準にしています。実在の人物や、特定の証言者をもとにした人物ではありません。 ナット(二十八歳)、東北部イサーンのウドーンターニー県の村の生まれ。バンコクでアプリの配達の仕事をしながら、夜はネイリストを目指して練習を続けています。毎月、村へ仕送りをしています。 メーオ姉さん(五十四歳)、バンコク旧市街で麺の屋台を営む二代目の女将。潮州から来た祖父の代から続く味を守り、常連ごとに値段をさりげなく変えます。この屋台が、本書の動かない定点です。 ソムチャイ爺さん(七十二歳)、ナットの祖父。イサーンの村で米を作ってきました。若いころはサウジアラビアへ出稼ぎにも出ました。いまは妻のブアさんと、出稼ぎに出た息子夫婦の子ども二人を育てています。 ファリダ(三十四歳)、南部パッターニー県の出身のマレー系ムスリム。ソンクラー県ハートヤイの高校で英語を教え、母と暮らしています。家ではマレー語の方言、学校ではタイ語。南部が「事件」だけで語られることを好みません。 高橋さん(日本人、四十代半ば)、日系の自動車部品メーカーの駐在員として、東部チョンブリー県シラチャで妻と娘と暮らして三年目。工場の現地社員の微笑みの意味が分からず戸惑いながら、少しずつこの国の仕組みに気づいていく、読者の分身です。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らす・働くための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ「世界の国のリアル」は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。

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