モーリシャスのリアル
万象知楽編集部 / 世界の国のリアル
この本について
『モーリシャスのリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、モーリシャスの歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。寺の鈴と教会のオルガンとモスクの呼びかけが重なる通り、見渡すかぎりのサトウキビ畑、夕暮れの浜で鳴りはじめるセガの太鼓。 この国は、「ハネムーンのリゾートの島」として語られることの多い国です。本書はその像を否定しませんが、そこで終わらせません。人が住んでいなかった島に、奴隷として、年季労働者として、商人として、世界じゅうから人びとが運ばれ、渡ってきて、いまの暮らしをつくってきた——それがこの本の立ち位置です。 案内役の人物と、その会話・心情・個人的な体験・場面描写は創作です。実在する人への取材や聞き取りを再現したものではありません。 登場人物が語る記憶は、実際の体験者の言葉ではありません。人物の意見は、その国の人びと全体を代表するものではなく、歴史的な事実や専門家の見解の代わりにもなりません。 歴史上の出来事、統計、制度などの説明には、本文中の資料番号に対応する参照資料を巻末に掲げています。資料が裏付ける範囲と、物語として描いた部分は区別してお読みください。 本書は、架空の五人の案内役の日々をたどりながら、モーリシャスの歴史・文化・社会を物語で読む一冊です。プリヤ(三十歳)、ジャン(六十歳)、アジャイおじいちゃん(七十五歳)、リー(二十八歳)、島田さん(日本人、四十代)。 フランス統治の時代にアフリカやマダガスカルから連れてこられた奴隷と、イギリス統治の時代にインドなどから渡った年季労働者の歴史を、本書は、誰が、いつ、何をしたかを事実として記し、断罪も美化もしません。年季労働者の受け入れ所は、ほぼ五十万人近い人びとが上陸した場所として、世界遺産になっています。 モーリシャスの国勢調査は、民族ではなく、宗教と祖先の言葉を集計しています。本書の人びとの構成についての数字は、二〇二二年の国勢調査の宗教別の人口などによるもので、時点を付けました。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らすための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ『世界の国のリアル』は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。
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