コンゴ民主共和国のリアル
万象知楽編集部 / 世界の国のリアル
この本について
『コンゴ民主共和国のリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、コンゴ民主共和国の歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。夕暮れのキンシャサの街角に流れるルンバのギター、市場の喧噪、そして悠々と流れる茶色い大河。 この国は、「戦争と貧困の国」「アフリカのどこかの国」「資源の国」として語られることの多い国です。本書はその像を否定しませんが、そこで終わらせません。苦難から目をそらさず、同時に、その国に生きる人びとの暮らしと誇りと音楽を、まるごと描く——それがこの本の立ち位置です。 以下は架空の人物です。年齢は二〇二六年を基準にしています。実在の人物や、特定の証言者をもとにした人物ではありません。 パトリック(二十七歳)、首都キンシャサで暮らす青年。決まった勤め先はなく、ギターの演奏、荷物運び、携帯電話の通話時間の転売など、いくつもの小さな稼ぎを組み合わせて日々を渡っている。「デブルイユ」(何とか工夫して生き抜くこと)の精神で、混沌とした街を、音楽と機知と笑顔で歩く。 ママ・ジゼル(四十五歳)、キンシャサの市場で商いをする女性。六人の子ども、孫、亡くなった姉の子を含む大家族の台所を、仕入れと商いのやりくりで支えている。乏しいものを分け合い、客に精いっぱいの一皿を差し出す。 パパ・ローラン(七十六歳)、キンシャサに暮らす古老。まだ子どもだった一九六〇年の独立の日を覚えており、その後のモブツの長い独裁も、戦争も生き抜いてきた。この国の「記憶」を、ゆっくりと語る人。 エスペランス(二十六歳)、東部のゴマで、母、二人の弟、引き取ったいとこと暮らす女性。市場の片隅で仕立ての仕事をし、近所の子どもたちに読み書きも教える。名はフランス語で「希望」を意味する。 川口さん(日本人、四十代)、資源や人道支援の仕事で、キンシャサに関わる日本人。この国の混沌とした活気に驚き、スマートフォンの電池とこの国の土がつながっていることに考え込む、読者の分身。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らす・働くための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ「世界の国のリアル」は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。
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