万象知楽出版BANSHO CHIRAKU PUBLISHING

ジンバブエのリアル

万象知楽編集部 / 世界の国のリアル

ジンバブエのリアルの表紙

この本について

『ジンバブエのリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、ジンバブエの歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。朝の光に蜂蜜色に染まる、モルタルを使わずに積まれた石の壁。遠くまで響く滝の轟音と、空へ立ちのぼる水煙。市場の露店で笑い話とともに売られている、ゼロが十四個並んだ百兆ドル紙幣。 この国は、「石の遺跡の国」「ハイパーインフレの国」として語られることの多い国です。本書はその像を否定しませんが、そこで終わらせません。独立の希望から困難の時代へ、学ぶことと笑うことを手放さずに歩んできた人びとの日々を、この本は描きます。 案内役の人物と、その会話・心情・個人的な体験・場面描写は創作です。実在する人への取材や聞き取りを再現したものではありません。 登場人物が語る記憶は、実際の体験者の言葉ではありません。人物の意見は、その国の人びと全体を代表するものではなく、歴史的な事実や専門家の見解の代わりにもなりません。 歴史上の出来事、統計、制度などの説明には、本文中の資料番号に対応する参照資料を巻末に掲げています。資料が裏付ける範囲と、物語として描いた部分は区別してお読みください。 本書は、架空の五人の案内役の日々をたどりながら、ジンバブエの歴史・文化・社会を物語で読む一冊です。タリサイ(三十歳)、ババ・ムーヨ(六十歳)、セクル・ンダウ(七十五歳)、ファライ(二十五歳)、森本さん(日本人、四十代)。 白人少数支配に対する解放闘争、一九八〇年の独立、その後の政権の歩みは、政府・与党、野党、国際機関、人権団体の立場を区別して書きます。独立の数年後、南西部のマタベレランドなどで、政府は北朝鮮で訓練された第五旅団を送りました(グクラフンディ)。当時の政府は反政府武装勢力への対処だと説明しましたが、犠牲になったのは、おもにンデベレの人びとを含む多くの一般の人びとで、死者は二万人を超えるとする推計があります。本書は、誰が、いつ、何をしたかを事実として記し、断罪も美化もしません。被害を受けた人びとの尊厳を、何より先に置きます。 二〇〇〇年ごろからの土地改革(白人所有の商業農場の接収と再分配)、二〇〇〇年代のハイパーインフレとその後の通貨の変遷(二〇二四年四月の新通貨ZiGの導入を含む)、二〇一七年十一月の軍の介入とムガベ大統領の辞任、二〇二三年八月の選挙とその評価は、土地を失った人、土地を得た人、与党、野党、監視団、人権団体のそれぞれの立場を区別して記します。数字は資料で確かめられた範囲だけを書き、確かめられないものは断定しません。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らすための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ『世界の国のリアル』は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。

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