万象知楽出版BANSHO CHIRAKU PUBLISHING

エスワティニのリアル

万象知楽編集部 / 世界の国のリアル

エスワティニのリアルの表紙

この本について

『エスワティニのリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、エスワティニの歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。谷に溜まる朝の霧、遠くから届く太鼓、練り粥を煮る台所の火。 この国は、「アフリカ最後の絶対君主制」「葦を運ぶ行事の国」「HIVの国」といった短い言い回しで語られることの多い国です。本書はその像を否定しませんが、そこで終わらせません。四国ほどの広さに四つの気候の帯が畳み込まれ、家を単位にした暮らしと、王と母后が対になって担うとされる古い統治の形が、隣の大国と結びついた経済のなかで重なっている——それがこの本の立ち位置です。 以下は架空の人物です。年齢は二〇二六年を基準にしています。実在の人物や、特定の証言者をもとにした人物ではありません。 テンビ(二十代半ば)、ムババーネの事務所で、事務の補助として働く女性。契約は一年ごとに更新される。町の部屋に住み、毎朝ミニバスで職場へ通い、月に一、二度、祖母ゴゴ・ノムサのいる実家に帰る。スマートフォンで外の世界とつながる世代で、外国で書かれた自分の国の記事に、複雑な思いを抱いている。 シフィソ(二十代のはじめ)、低地の砂糖きび畑で、収穫の季節に合わせて働く青年。サッカーが好きで、南アフリカへ働きに出るかどうかを、何年も迷っている。 ゴゴ・ノムサ(七十代後半)、高地の丘の斜面のホームステッドで、孫たちと暮らす祖母。火を熾し、とうもろこしの粥を練り、葬いや儀礼の段取りを知っている。「ゴゴ」は祖母、または年上の女性への敬称。 ババ・ドゥミサ(七十代から八十代)、丘の反対側のホームステッドを束ねてきた年配の男性。牛と土地と首長の仕組みを、自分の家の言葉で語る。「ババ」は年上の男性への敬称。 西村さん(日本人)、水と農業と保健の協力の仕事で、この国に通う日本人。町の宿に泊まりながら、井戸や配水、村の保健所の記録に関わる。読者の分身で、自分の理解にいつも留保をつける。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らす・働くための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ「世界の国のリアル」は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。

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