万象知楽出版BANSHO CHIRAKU PUBLISHING

ボツワナのリアル

万象知楽編集部 / 世界の国のリアル

ボツワナのリアルの表紙

この本について

『ボツワナのリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、ボツワナの歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。夜明け前の冷たい空気に混じる牛の匂い、海に届かない川がつくる水の三角州、夕暮れの水辺に集まるゾウの群れ。 この国は「ダイヤモンドの国」「アフリカの優等生」として語られることの多い国です。本書はその像を否定しませんが、そこで終わらせません。ダイヤモンドという一つの資源に暮らしを大きく左右されながら、独立から今日まで選挙で政権が決まる体制を保ち、二〇二四年には独立以来はじめて与党から野党へ政権が移った——その歩みと、光の届きにくかった場所を、あわせて描くのがこの本の立ち位置です。 案内役の人物と、その会話・心情・個人的な体験・場面描写は創作です。実在する人への取材や聞き取りを再現したものではありません。 登場人物が語る記憶は、実際の体験者の言葉ではありません。人物の意見は、その国の人びと全体を代表するものではなく、歴史的な事実や専門家の見解の代わりにもなりません。 歴史上の出来事、統計、制度などの説明には、本文中の資料番号に対応する参照資料を巻末に掲げています。資料が裏付ける範囲と、物語として描いた部分は区別してお読みください。 本書は、架空の五人の案内役の日々をたどりながら、ボツワナの歴史・文化・社会を物語で読む一冊です。ネオ(三十歳)、モツ(五十五歳)、ンクばあちゃん(七十歳)、カゴ(二十八歳)、河野さん(日本人、四十代)。 ボツワナの輸出の大きな部分はダイヤモンドです。政府とデビアス社が五十パーセントずつを持つ会社が鉱山を運営していること、二〇二四年にダイヤモンドの売り上げが落ち込み、失業とともに総選挙の大きな争点になったこと、二〇二四年十月三十日の総選挙で独立以来の与党が敗れたことを、資料に基づく事実として記します。本書は、誰が、いつ、何をしたかを事実として記し、断罪も美化もしません。選挙の結果の評価はしません。ダイヤの富が道路や学校、医療に使われた面と、富の偏りや一つの資源への依存という課題の面を、両方書きます。 カラハリ砂漠に古くから暮らすサンの人びとは、一九九〇年代の終わりから二〇〇〇年代にかけて、中央カラハリ動物保護区の外の定住地へ移されました。政府は、学校や診療所などのサービスを届けるための措置だという立場を示してきました。サンの人びとと支援団体は、強制的な立ち退きだったと訴え、二〇〇六年には高等裁判所が立ち退きを違法とする判断を示しています。本書は、誰が、いつ、何をしたか、述べたかを区別して記し、どちらか一方を断罪することも、美化することもしません。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らすための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ『世界の国のリアル』は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。

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