万象知楽出版BANSHO CHIRAKU PUBLISHING

ベナンのリアル

万象知楽編集部 / 世界の国のリアル

ベナンのリアルの表紙

この本について

『ベナンのリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、ベナンの歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。夜明けの湖の上を滑る丸木舟、バイクの低いうなりが重なるコトヌーの朝、杵が臼を打つ音、そして砂浜に立つ一つの門。 この国は「ブードゥーの国」「アフリカの小さな国」として語られることが多い国です。本書はその像を否定しませんが、そこで終わらせません。水の上の村にも、土でできた北の家にも、ダホメ王国の王宮にも、人が暮らし、働き、祈り、誰かを悼んでいる——それがこの本の立ち位置です。 案内役の人物と、その会話・心情・個人的な体験・場面描写は創作です。実在する人への取材や聞き取りを再現したものではありません。 登場人物が語る記憶は、実際の体験者の言葉ではありません。人物の意見は、その国の人びと全体を代表するものではなく、歴史的な事実や専門家の見解の代わりにもなりません。 歴史上の出来事、統計、制度などの説明には、本文中の資料番号に対応する参照資料を巻末に掲げています。資料が裏付ける範囲と、物語として描いた部分は区別してお読みください。 本書は、架空の五人の案内役の日々をたどりながら、ベナンの歴史・文化・社会を物語で読む一冊です。グレース(二十代なかば)、コフィ爺さん(八十歳前後)、アヨ(年配の女性)、セドー(二十歳を少し過ぎた若者)、松原さん(日本人)。 ヴードゥンは、映画や小説の「呪い」の像とは別の、自然と祖先と精霊をめぐる信仰です。本書は、この信仰を恐怖の材料としても、珍しい見世物としても扱いません。ダホメ王国と大西洋の奴隷貿易については、誰が、いつ、何をしたかを事実として記し、断罪も美化もしません。王国が取引に関わったとされること、ヨーロッパやアメリカ大陸の側の需要と仕組みがあったこと、連れ去られた人の数が推計にすぎないことを、研究者や当事者の見方が分かれる点も含めて区別して書きます。祭礼や儀礼の細部は、部外者に語られないことを尊重し、書いていません。 二〇二五年から二〇二六年にかけて、憲法の改正、軍人によるクーデターの未遂、議会選挙、大統領選挙がありました。本書はこれらを時点つきの事実として第15章に記し、評価はしません。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らすための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ『世界の国のリアル』は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。

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