セネガルのリアル
万象知楽編集部 / 世界の国のリアル
この本について
『セネガルのリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、セネガルの歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。夜明けのダカールに折り重なる礼拝の声、手のひらで打つタムタムの太鼓、そして大西洋から吹きつける風。 この国は、「アフリカの、西のほうのどこか」「貧しい国」「ヨーロッパをめざして海を渡る若者の国」として語られることが多い国です。本書はそれらの像を否定しませんが、そこで終わらせません。独立以来、軍が政権を倒したことがないまま、選挙を重ねてきた国であり、同時に、多くの若者が仕事を求めて、命がけで海へ向かう国でもある——その両方を、同じ手のひらにのせて描くのが、この本の立ち位置です。 案内役の人物と、その会話・心情・個人的な体験・場面描写は創作です。実在する人への取材や聞き取りを再現したものではありません。 登場人物が語る記憶は、実際の体験者の言葉ではありません。人物の意見は、その国の人びと全体を代表するものではなく、歴史的な事実や専門家の見解の代わりにもなりません。 歴史上の出来事、統計、制度などの説明には、本文中の資料番号に対応する参照資料を巻末に掲げています。資料が裏付ける範囲と、物語として描いた部分は区別してお読みください。 本書は、架空の五人の案内役の日々をたどりながら、セネガルの歴史・文化・社会を物語で読む一冊です。ママドゥ(二十七歳)、アイサトゥ(四十歳)、パパ・ウスマン(七十五歳)、イブラヒマ(二十五歳)、石川さん(日本人、四十代)。 ダカールの沖にあるゴレ島は、大西洋をまたぐ奴隷貿易の記憶の象徴として知られます。本書は、誰が、いつ、何をしたかを事実として記し、断罪も美化もしません。ヨーロッパの需要と、アフリカ側の関与が絡み合っていたこと、この島を通った人の数には見方の違いがあることも、そのまま書きます。犠牲になった人びとの尊厳を、いちばん大切にします。 フランスの植民地支配、一九六〇年の独立、近年の西アフリカで続く軍の政権掌握、二〇二四年の選挙をめぐる混乱については、当事者である政府、武装勢力、市民、旧宗主国、国際機関の立場を区別し、いつ誰が何を述べたかの形で書きます。セネガルの人びとを一括りにせず、貧困や紛争だけでこの国を描くこともしません。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らすための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ『世界の国のリアル』は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。
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