カメルーンのリアル
万象知楽編集部 / 世界の国のリアル
この本について
『カメルーンのリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、カメルーンの歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。ドゥアラの港に降るスコール、北のサヘルの夜明けに重なる礼拝の声、バメンダの高地を包む朝霧、そして路地から漏れてくるマコッサのリズム。 この国は「サッカーの強い国」「アフリカのどこか」として語られることが多い国です。本書はその像を否定しませんが、そこで終わらせません。砂漠の縁から熱帯雨林、火山の高地から大西洋の海岸までが一つの国に収まり、二百四十を超える民族と、フランス語と英語という二つの公用語を抱えながら、それでも一つの国として歩んできた——それがこの本の立ち位置です。 以下は架空の人物です。年齢は二〇二六年を基準にしています。実在の人物や、特定の証言者をもとにした人物ではありません。 エマニュエル(三十歳)、港町ドゥアラの下町ニューベルで生まれ育ったフランス語圏の青年。音楽の仕事に関わりながら、通関の手伝いや小さな卸の商いを掛け持ちして暮らす。母は市場で野菜を売り、その稼ぎで彼を大学に行かせた。 ババ(六十歳)、北部州の町ガルアに暮らすフルベの男性。若いころは牛を追って移動し、いまは息子たちに群れをまかせ、市場の商いに軸足を移している。イスラムの信仰と、古い王国の伝統のなかに生きる。 グレース(四十歳)、英語圏の北西州、高地の町バメンダに暮らす女性。教師をしながら市場にも立ち、家族を支えてきた。紛争のなかで教壇を離れたが、居間で子どもたちに読み書きを教えている。 サミー(二十二歳)、ドゥアラでサッカーの育成所に通い、夜は音楽もつくる若者。ボールと歌の二本の脚で、外の世界への道を探している。 西村さん(日本人、四十代)、カカオの買い付けと農家の支援の仕事でカメルーンに通い、のち長く関わることになった日本人。読者の分身として、この国の多様さと痛みに向き合う。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らす・働くための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ「世界の国のリアル」は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。
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