万象知楽出版BANSHO CHIRAKU PUBLISHING

中国 東北のリアル

万象知楽編集部 / 世界の国のリアル

中国 東北のリアルの表紙

この本について

『中国 東北のリアル』は、架空の登場人物の日常を想像しながら、中国の東北部――遼寧省・吉林省・黒竜江省――の歴史・社会・そこに生きる人びとの暮らしを読む本です。凍りついた窓、暖房の湯気、工場の錆びた塀、朝鮮語とハングルの看板、ロシア風の丸屋根。冬の朝の冷たさから、物語は始まります。 この土地は、「寒くて何もない衰退地帯」として語られることの多い土地です。本書はその見方を全否定はしませんが、そこで終わらせません。共和国の長子と呼ばれた工業の栄光と、その後の停滞、そして日本の歴史と深く結びついた記憶。そのどちらにも、同じ重さで目を向けます。 以下は架空の人物です。年齢は二〇二六年を基準にしています。実在の人物や、特定の証言者をもとにした人物ではありません。 趙さん(五十八歳)、瀋陽の元・国有企業の機械工。一九九〇年代の下崗で工場を離れ、いまはビルの警備などの仕事をしています。「昔はうちの工場が街だった」が口ぐせです。 金さん(三十五歳)、吉林省の延辺朝鮮族自治州に暮らす朝鮮族。中国語と朝鮮語を話し、韓国と日本での出稼ぎの経験があります。いまは通訳や貿易の仲立ちをして暮らしています。「どこにいても、根はここ」と言います。 劉さん(四十五歳)、ハルビンでロシアとの国境貿易を営む商人。「ハルビンは半分ロシア」と笑います。 小紅(二十六歳)、大連生まれの若い女性。両親と暮らし、南の大都市へ出るか、故郷に残るかで揺れています。「ここには未来がない、でも帰りたい」が口ぐせです。 杉山(四十八歳)、日本の企業から大連に駐在している会社員。祖父が満洲に関わった家族史を胸に抱え、この土地を歩きます。読者の分身です。 歴史や統計の説明には巻末に参照資料を掲げ、物語の人物・会話は創作であることを明記しています。終章のあとには、旅行の準備、暮らす・働くための手がかり、実用Q&Aと言葉・マナーの実践編を収めました。 シリーズ「世界の国のリアル」は、土地の歴史と人びとの暮らしを、物語を通してたどる読み物です。

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